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狩野派の筆致に陰影法を加味した作品を残した荻津勝孝

荻津勝孝夫妻像 荻津勝孝

佐竹曙山の直臣・荻津勝孝も秋田蘭画を描いた人物のひとりとされ、平賀源内が秋田滞在中に、小田野直武田代忠国とともに源内に西洋画法を伝授されたと伝わっている。狩野洞春の画風を学んだが、専門画家ではなく、江戸に出たこともなかったと思われる。残っている作品は極めて少なく、狩野派の作風を示すものは数点残っている。専門の画家でなないという理由から自作に落款をしなかったという。

荻津勝孝(1746-1809)おぎつ・かつたか
延享3年生まれ、石橋四郎兵衛弘賢の二男。のちに秋田藩士・荻津勝猷の婿養子となった。名は勝孝、八十八、孫太郎といい、独元斎と号した。狩野派を本格的に学び、狩野派の筆致に陰影法を加味した作品を残している。平賀源内に直接西洋画法の手ほどきを受けてと伝わっているが、定かではない。8代藩主・曙山と9代藩主義和の2代に仕え、寛政2年に天流切合棒術師範となった。文化6年、64歳で死去した。

秋田(8)-画人伝・INDEX

文献:秋田蘭画展、小田野直武と秋田蘭画




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