越前で画名が高かった町絵師としては、早瀬蘭川・来山父子がいる。早瀬蘭川(1777-1837)は福井城下神明町に生まれ、京都に出て原在中に師事し、美人画で評判を得た。子の来山は、父同様に京都に出て四条派の松村景文、岡本豊彦に画を学んだ。豊彦にその才能を認められ養嗣にしたいとの誘いを受けたが、父の反対にあい郷里に戻り、家業を継承したという。
早瀬蘭川(1777-1837)はやせ・らんせん
安永6年福井生まれ。諱は徳本、字は子孝。別号に松雪、後素軒がある。原在中に師事した。門下に福井藩士でのちに藩の絵師となった岩尾雪峯がいる。天保8年、61歳で死去した。
早瀬来山(1808-1890)はやせ・らいざん
文化5年福井生まれ。早瀬蘭川の子。名は鴻、字は子漸。はじめ晩翠、嬾僊などと号し、のちに来山と改めた。はじめ父に画を学んだが、のちに京都に出て四条派の松村景文に師事し、のちに岡本豊彦の門に入った。帰郷後は真宗大谷派の福井別院対面所や、同じく本願寺派福井別院白書院の障壁画などを描いた。作品は四条派以外に南画風のものも描いている。明治23年、83歳で死去した。
福井(09)-画人伝・INDEX
文献:桃山の色 江戸の彩 福井ゆかりの近世絵画、郷土画家とその関連門流展