画人伝・京都 狩野派 花鳥画 静物画

元信様式を摂取した跡がみられる狩野雅楽助

伝狩野雅楽助「麝香猫図屏風」(部分)ボストン美術館

伝狩野雅楽助「麝香猫図屏風」(部分)ボストン美術館

狩野雅楽助(1513-1575)は、古くから狩野元信の弟とみなされていたが、近年になって元信の子とする説も提示されており、いまだに確証は得られていない。ただその画風には元信の画法を忠実に学んだところがあり、活躍期もおよそ16世紀前半と想定されることから、元信のごく身近にいた有力画家のひとりであったことは間違いないと思われる。

掲載の「麝香猫図屏風」は、元信作の「四季花鳥図」などにみられる滝や巨岩、樹木などによって山深い水辺の景観が設計され、その周囲に麝香猫や数多くの小禽類、四季の草花も添えられており、細部手法には他の伝雅楽助とされる作品と同様、元信様式を摂取した跡がみられる。

狩野雅楽助(1513-1575)かのう・うたのすけ
永正2年生まれ。狩野正信の二男で、狩野元信の弟とみられる。諱は之信。別号に輞隠子、輞隠がある。法名は性通。画法を正信、元信に学び、三井寺で扇面を多く描いた。山水人物を得意とした。諸説あるが、天正3年、63歳で死去した。

京都(49)-画人伝・INDEX

文献:室町時代の狩野派、日本画家人名事典




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