画人伝・大阪 浮世絵師

歌川国芳に学び大坂で多くの門弟を育てた一鶯斎芳梅

一鶯斎芳梅「道頓堀」(『滑稽浪花名所』より)

一鶯斎芳梅「道頓堀」(『滑稽浪花名所』より)

一鶯斎芳梅(1819-1879)は、大坂の人で、天保12年から安政年間頃に活躍した。江戸の歌川国芳の門人で、美人画では国芳風の健康的で明るい印象の美人を描いた。一方で役者絵においては上方の好みに合った画風を維持した。門人に一養亭芳滝、六花園芳雪らがいる。

掲載の『滑稽浪花名所』は、幕末から明治初年頃にかけて刊行された錦絵のシリーズで、同門の北粋亭芳豊との共作。大坂の名所と、そこで繰り広げられる珍事件を組み合わせて描き、五十景としている。

上記の「道頓堀」は、浄瑠璃や歌舞伎の劇場が密集し娯楽の中心地だった道頓堀川の南側での珍事件が描かれている。人混みのなかで女性たちのけんかが始まり、巻き込まれた茶屋の店員が運搬中の食べ物をひっくり返している。

下記の「ざこば魚市」は、共作の北粋亭芳豊の作。新鮮な魚が届いた市場では、ハモがのたうちまわり、大きなタコが盛大に墨を吐いたり人の首に巻きついたりしている。鯛の箱には作者芳豊の著名がさりげなく入れられている。

北粋亭芳豊「ざこば魚市」(『滑稽浪花名所』より)

北粋亭芳豊「ざこば魚市」(『滑稽浪花名所』より)

一鶯斎芳梅(1819-1879)いちおうさい・よしうめ
文政2年生まれ。大坂の人。歌川国芳の門人。本姓は中島、名は藤助。歌川姓を名乗った。天保12年から安政年間頃に活躍した。明治12年、61歳で死去した。

大阪(67)-画人伝・INDEX

文献:上方の浮世絵-大坂・京都の粋と技、幕末大坂の風景




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