中村義夫(1889-1957)は、兵庫県赤穂市に生まれた。父親の勤務の都合で大阪に転居し、松原三五郎に師事して洋画を学んだ。その後、東京美術学校に入学し、黒田清輝、和田英作の指導を受け、在学中葵橋研究所にも通った。
大正10年から15年までフランスに滞在し、アマン・ジャンに師事した。留学中は各地を訪れているが、掲載の「サンジェルマン・アン・レイの冬」をはじめパリ近郊で描いた作品が多い。サンジェルマン・アン・レイはパリ郊外に位置し、作曲家のクロード・ドビュッシーが生まれた場所で、美術家のモーリス・ドニが暮らした場所としても知られている。
大正15年の帰国後は、大阪美術研究会を設立し、大阪市展の審査員もつとめた。昭和3年奈良市高畑にアトリエを構え、志賀直哉、新井完らと親しく交流した。
中村義夫(1889-1957)なかむら・よしお
明治22年兵庫県赤穂市生まれ。明治38年大阪で松原三五郎に師事。大正6年東京美術学校卒業。大正10年渡仏、アマン・ジャンに師事した。大正12年から大正14年サロン・ドートンヌに入選。大正15年帰国し、渡仏記念個展を開催。昭和3年奈良市高畑に転居した。昭和32年、68歳で死去した。
兵庫(48)-画人伝・INDEX
文献:中村義夫展、コレクションでたどる姫路市立美術館の25年