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郷里姫路で「農」のある風景を描き続けた森崎伯霊

森崎伯霊「澄秋」

森崎伯霊「澄秋」

森崎伯霊(1899-1992)は、兵庫県飾磨郡下中島村(現在の姫路市飾磨区中島)の農家に生まれた。少年のころから画家を目指していたが、近隣の寺の住職に手ほどきを受けた程度で、農業を手伝いながら通信教育で独習を続けた。

21歳の時に本格的に画を学ぶため京都に出たが、思うように師が見つからず、2、3年の間、綾部の叔父の家を拠点に京都と姫路を往き来しながら独学した。この頃俳人の河東碧梧桐と知り合い俳句も始めた。

大正14年に姫路に帰り、農業に従事するかたわら蓮池や水田の広がる「農」のある風景を一貫して描き続け、44歳の時に目標だった日本美術院展に初入選を果たし、以後は同展に出品を続けた。

森崎伯霊(1899-1992)もりさき・はくれい
明治32年兵庫県飾磨郡下中島村(現在の姫路市飾磨区中島)生まれ。本名は寅義。家業の農業のかたわら独学し、大正8年師を求めて京都に出たがかなわず、京都と姫路を行き来しながら独学し、俳句も学んだ。大正14年姫路に戻り農作業をしながら作画に励み、俳句の会である姫路シラサギ社に加わり俳画も描いた。昭和15年大阪市美術展入選。昭和18年日本美術院展に初入選し、以後同展に出品を続け、昭和27年日本美術院春季展で奨励賞を受賞した。昭和39年小松均主宰の甲辰会に入会。昭和40年日本美術院特待となった。昭和57年兵庫県文化賞受賞。平成4年、93歳で死去した。

兵庫(42)-画人伝・INDEX

文献:兵庫ゆかりの日本画家たち展、兵庫の美術家県内日本画壇回顧展、森崎伯霊展播磨の光と風の詩、コレクションでたどる姫路市立美術館の25年、兵庫の絵画100年展




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