画人伝・京都 画僧・武人 山水・真景

周文最晩年の弟子と思われる岳翁蔵丘

岳翁蔵丘「山水図」東京国立博物館蔵

岳翁蔵丘「山水図」東京国立博物館蔵

岳翁蔵丘(不明-不明)は、とくに京都・東福寺の了庵桂悟と親交を持った僧で、周文の弟子と伝わっている。年代の推測しうる作例は文明年間以降のもので、その後少なくとも永正年間まで活動したと考えられるので、周文の最晩年の弟子と思われる。

長く周文の別名のように伝えられてきたが、掲載の「山水図」にある「蔵丘」の落款と「岳翁」の印章があることが知られ、さらに東福寺の僧・季弘大叔の『蔗軒日録』の文明18年の条に、周文の弟子として画僧蔵丘の山水画のことが出ていることから、岳翁蔵丘という画人の存在がはっきりしてきた。

岳翁蔵丘は、周文の弟子のうちでも、墨痕淋漓といわれた夏珪画の筆墨法をもっともよく取り入れており、伝統を墨守した保守派の画人であったと思われ、やや粗雑ながら室町時代前期のいわゆる周文様式を伝えている。

岳翁蔵丘(不明-不明)がくおう・ぞうきゅう
室町時代後期の画僧。蔵丘は諱。文明年間から永正年間にかけて作画していたとされる。一時伊勢方面で制作した形跡があり、掲載の「山水図」も伊勢の小津家の旧蔵だった。

京都(24)-画人伝・INDEX

文献:本朝画史、日本美術全集9.原色日本の美術11、日本の美術12 周文から雪舟へ




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