画人伝・京都 画僧・武人

京都・東福寺を中心に活躍したとみられる画僧・良全

良全「十六羅漢図 第十尊者」(全16幅のうち1幅)重文 京都・建仁寺蔵

良全「十六羅漢図 第十尊者」(全16幅のうち1幅)重文 京都・建仁寺蔵

良全(不明-不明)は、鎌倉時代から南北朝時代に活動した画僧で、款記には「良詮」と記した作例もある。「海西人全集筆」の款記が知られることから、海西の人すなわち九州出身の可能性が高いと思われる。複数の作例に京都・東福寺の乾峰士曇の賛があることから、乾峰に重用され、東福寺を拠点に活動したとみられる。

画技はすでに禅僧の余技の範囲を逸脱しており、中国風を学びつつ、日本的な水墨画の成立に向かう過程を担った画僧のひとりとして位置付けられている。

掲載の「十六羅漢図」は、現在は京都・建仁寺に所蔵されているが、もとは東福寺の常什物で、『東福寺誌』に記載されている貞和4年に乾峰らが中心となって勧進された「十六羅漢図」が、おそらく本作品にあたるとされている。

良全(不明-不明)りょうぜん
鎌倉時代から南北朝時代の画僧。良詮とも書いた。道釈人物画を得意とした。九州出身とみられるが中国からの渡来画人説もある。乾峰士曇賛の「騎獅文殊図」「白衣観音図」「十六羅漢図」などの作品が知られている。

京都(11)-画人伝・INDEX

文献:本朝画史、日本美術全集9、日本の美術12 周文から雪舟へ




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