秋月等観の弟子と伝わっている画人で、等碩の次に現存作品を見ることのできる人物に等坡がいる。等坡は室町時代後期に活躍した画僧で、桃山時代に雪舟流の系譜をまとめた「画師的伝宗派図」には、日州人と記され、秋月等観の門人の中に名を連ねており、『薩摩画人伝備考』にも、日向の人であり、秋月等観の弟子であると記されている。
等坡の作品としては、「釈迦三尊像」(掲載作品)が唯一確認されている。本作品は、中幅に釈迦如来、左幅に普賢菩薩、右幅に文殊菩薩を配する三幅対形式の掛け軸で、この形式は他の雪舟系の画人たちの作例にも見られ、当時は需要の多い画題だったと考えられている。
等坡(不明-不明)
室町後期の画僧。秋月等観の弟子と伝わっている。生没年や伝歴は明らかではない。木村探元の口述集『三暁庵主談話』には「等坡和尚ハ小根占園林寺住持ニテ秋月ノ弟子トナリ画ヲカカレ候」と記している。園林寺は現在の鹿児島県南大隅町にあった県内最古の曹洞宗の寺院で、今は寺跡を残すのみである。しかし、園林寺の住僧録に等坡の名を見出すことはできない。近年、雪舟およびその周辺の水墨画家と曹洞宗関連の寺院には深いつながりがあったことが注目されている。
鹿児島(4)-画人伝・INDEX
文献:薩摩の絵師、美の先人たち 薩摩画壇四百年の流れ、かごしま文化の表情-絵画編、薩摩画人伝、鹿児島市立美術館所蔵作品選集