画人伝・香川 南画・文人画家

中川馬嶺・愛山親子とその門人たち

中川馬嶺(1783-1860)も長町竹石の高弟のひとりで、幼いころから竹石に学び、高松松平家の家臣・大久保家に召し抱えられた。門弟には片山豊泉、松原墨江、赤松陶濱、三枝保年、久保梅亭、畑尾茶庵らがいる。馬嶺の子である中川愛山(1822-1893)は、父に学び、のちに明清の名蹟に倣い、出藍の誉の声も高かった。門人には鈴木東洋、富山竹溪、富山豁園らがいる。愛山の子・中川愛竹も父に学び、家風を伝えたが大成せずに死去した。

中川馬嶺(1783-1860)なかがわ・ばれい
天明3年小豆島生まれ。高松の中川家の養子となった。名は勝次、字は永年。幼いころから画を好み、長町竹石に学んで一家をなした。山水、四君子を得意とした。延元年、77歳で死去した。

中川愛山(1822-1893)なかがわ・あいざん
文政5年生まれ。名は勝、字は陳年。中川馬嶺の子。父に学び、のちに明清の名蹟に倣い、山水を得意とした。明治26年、72歳で死去した。

片山豊泉(1785頃-1865)かたやま・ほうせん
天明5年頃生まれ。名は詮庶、通称は十左衛門。小豆郡豊嶋村の人。中川馬嶺に学び、山水を得意とした。慶應元年、81歳で死去した。

松原墨江(1808頃-1885)まつばら・ぼっこう
文化5年頃生まれ。名は義長、通称は又一。別号に竹江がある。中川馬嶺に学んだ。明治18年、78歳で死去した。

赤松陶濱(1810-1868)あかまつ・とうひん
文化7年生まれ。名は虞、通称は猪太郎。陶工として名高い。画を中川馬嶺に学び、山水、蘭竹をよくした。慶応4年、59歳で死去した。

三枝保年(1815頃-1889)さえぐさ・ほうねん
文化12年頃生まれ。通称は松太郎。香川郡由佐村の人。はじめ中川馬嶺に学び、花鳥、人物を描いた。のちに仏画を京に出て学んだとされる。明治22年、75歳で死去した。

久保梅亭(1821頃-1883)くぼ・ばいてい
文政4年頃生まれ。名は盛仁、通称は仲三郎。晩年は梅翁と号した。木田郡古高松村の人。医者として名高い。阿部絹洲らに経史を学び、画を中川馬嶺に学んだ。山水を得意とした。明治16年、63歳で死去した。

畑尾茶庵(1830頃-1896)はたお・ちゃあん
天保元年頃生まれ。名は實哉、通称は彌三郎。丸亀の人。中川馬嶺に学び、山水、花鳥、人物をよくした。明治29年、67歳で死去した。

村上漁邨(1830頃-1900)むらかみ・ぎょそん
天保元年頃生まれ。名は薫。丸亀の人。畑尾茶庵に学んだ。明治33年、71歳で死去した。

笠井柳堤(1829頃-1881)かさい・りゅうてい
文政12年頃生まれ。通称は和吉郎。中川愛山に学んだ。明治14年、53歳で死去した。

勝浦舟屋(1841頃-1912)かつうら・せんおく
天保12年頃生まれ。通称は利三郎。栗林公園博物館館員。中川愛山に学んだ。明治45年、72歳で死去した。

富山竹溪(1845頃-1878)とみやま・ちっけい
弘化2年頃生まれ。名は定規、字は元度、通称は甚三郎。別号に克巳堂がある。画を中川愛山に学び、蘭竹を得意とした。和歌もよくした。明治11年、34歳で死去した。

中野芝石(1850頃-1890)なかの・しせき
嘉永3年頃生まれ。名は喜哉、通称は瀧治郎。古書画の収集をした。中川愛山に学び、山水、蘭竹をよくした。明治23年、41歳で死去した。

十河醒石(1850頃-1900)そごう・せいせき
嘉永3年頃生まれ。名は忠貞、幼名は熊之助、のちに權三郎。古書画の収集をした。中川愛山に学んだ。明治33年、51歳で死去した。

中川愛竹(1854頃-1887)なかがわ・あいちく
安政元年頃生まれ。通称は勝太郎。中川愛山の長男。父に学び、家風を伝えたが大成せずに、明治20年、34歳で死去した。

鈴木東洋(1857頃-1910)すずき・とうよう
安政4年頃生まれ。名は義和、字は子幹、、通称は傳五郎。義方の子。別号に白雲洞がある。中川愛山に学び、墨竹を得意とした。明治43年、54歳で死去した。

富山豁園(1857頃-1880)とみやま・こくえん
安政4年頃生まれ。名は定業、通称は房次郎。富山竹溪の義弟で、ともに中川愛山に学んだ。明治13年、24歳で死去した。

小西蒼山(1858頃-1898)こにし・そうざん
安政5年頃生まれ。名は臺造。大川郡長尾村の人。医業の余暇に画を中川愛山に学んだ。明治31年、41歳で死去した。

岩佐梅窓(1858頃-1908)いわさ・ばいそう
安政5年頃生まれ。通称は幸造。名士と交流し古書画を好んだ。画を中川愛山に学び、蘭竹をよくした。明治41年、51歳で死去した。

香川(7)画人伝・INDEX

文献:讃岐画家人物誌、讃岐の文人画展、描かれし美の世界




You may also like

おすすめ記事

1

長谷川等伯 国宝「松林図屏風」東京国立博物館蔵 長谷川等伯(1539-1610)は、能登国七尾(現在の石川県七尾市)の能登七尾城主畠山氏の家臣・奥村家に生まれ、のちに縁戚で染物業を営む長谷川家の養子と ...

2

田中一村「初夏の海に赤翡翠」(アカショウビン)(部分) 昭和59年(1984)、田中一村(1908-1977)が奄美大島で没して7年後、NHK教育テレビ「日曜美術館」で「黒潮の画譜~異端の画家・田中一 ...

3

横山大観「秩父霊峰春暁」宮内庁三の丸尚蔵館蔵 横山大観(1868-1958)は、明治元年水戸藩士の子として現在の茨城県水戸市に生まれた。10歳の時に一家で上京し、湯島小学校に転入、つづいて東京府小学校 ...

4

北野恒富「暖か」滋賀県立美術館蔵 北野恒富(1880-1947)は、金沢市に生まれ、小学校卒業後に新聞の版下を彫る彫刻師をしていたが、画家を志して17歳の時に大阪に出て、金沢出身で歌川派の流れを汲む浮 ...

5

雪舟「恵可断臂図」(重文) 岡山の画家として最初に名前が出るのは、室町水墨画壇の最高峰に位置する雪舟等楊(1420-1506)である。狩野永納によって編纂された『本朝画史』によると、雪舟の生誕地は備中 ...

-画人伝・香川, 南画・文人画家

© 2024 UAG美術家研究所 Powered by AFFINGER5