画人伝・石川 日本画家 歴史画

帝展で注目され石川県画壇に新風を吹き込んだが45歳で没した田村彩天

田村彩天「雨の白河」野間奉公会蔵

田村彩天「雨の白河」野間奉公会蔵

田村彩天(1889-1933)は、金沢市に生まれ、石川県立工業学校図案絵画科を卒業後、東京美術学校日本画科に進み、同校卒業後は寺崎広業に師事した。大正9年、第2回帝展で初入選を果たし、その後も帝展で2度特選を得るなどして注目を集めた。郷里においても、武藤直信安井雪光らとともに金城画壇展に特別会員として参加し、画壇に新風を吹き込んだが、45歳で没した。

田村彩天(1889-1933)たむら・さいてん
明治22年金沢市裏安江町(現在の安江町)生まれ。本名は外喜雄。旧姓は福島で、田村岩松の養子となった。明治40年石川県立工業学校図案絵画科を卒業し、東京美術学校日本画科に進学、明治45年同校本科を卒業し、卒業後は寺崎広業に師事した。大正9年第2回帝展に初入選し、大正13年第5回帝展で特選となり、さらに昭和2年第8回帝展でも特選となり注目された。昭和4年無鑑査。昭和5年久邇宮家の杉戸に「樹下美人図」を描いた。郷里では金城画壇展に特別会員として出品した。昭和8年、45歳で死去した。

石川(26)-画人伝・INDEX

文献:金沢市史資料編16(美術工芸)、新加能画人集成、石川の美術-明治・大正・昭和の歩み




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