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画人伝・北海道 日本画家 風俗図・日常風景

「北海道日本画協会」を創設した本間莞彩

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本間莞彩「夕陽の北海」北海道立近代美術館蔵

北海道の近代美術にあって、華やかに展開していった洋画の陰にかくれ、北海道の日本画は久しく精彩がなかった。北海道では日本画は育たないといわれ、それが半ば定説化され、日本画の発展を阻んでいたともいえる。そのような環境のなかで、日本画の自立を叫んで「北海道日本画協会」を創設したのが本間莞彩だった。莞彩は、公募展や同人展を開催するとともに、研究所を併設して後進の指導にあたり、自身の画業としては、北海道の厳しい冬とそこに生活する人々とのごく自然な調和をテーマに描き、院展で活躍した。

新潟に生まれた本間莞彩(1894-1959)は、14歳の時に北海道余市町の本間海産物問屋の養子となるが、家業をきらい、20歳で上京、本郷の太平洋画研究所に通って中村不折に指導を受けた。26歳頃に札幌に戻り、狸小路に住んで、主に肖像画を描いて生計をたてていたという。莞彩のまわりには、描き方の教えを乞う肖像画家たちが集まっていたとも伝わっている。

本格的な作家活動として記録に残るのは、大正12年、29歳の時に洋画グループ「十二年社」の第1回展に「芳洲」の号で出品したのが最初である。この頃、南画家の谷口香巌が東京から札幌を訪れ、彼を中心に煎茶会という同好の集まりができ、そこに出入りしているうちに、莞彩は日本画にも興味を持ち、水墨画などを熱心に描くようになったという。また、この頃から空知郡出身の岩橋英遠と親しく交遊するようになる。

大正14年に創設された北海道美術協会(道展)の第1回展と第2回展には油絵を出品したが、昭和2年の第3回展からは日本画を出品、翌年は日本画部の会員になっている。この頃は、北海道の日本画壇の指導的立場にいた日本画家が道外へ転出、あるいは死去していたため、道展日本画部の創立会員は全員いなくなっており、莞彩ら若手が中心となって日本画壇独自の活動を展開するようになっていた。

道展日本画部で中心的役割を果たしていた莞彩だが、さらに日本画主体の活動を展開しようと、昭和21年に道展を離れ「北海道日本画協会」を創設した。創立時の同人は、山内弥一郎、本間莞彩、堀井象碩、川井霊祥、炭光任、小浜亀角、北山晃文、鬼川俊蔵、佐々木啓陽、高木黄史、西條正一、松村豊陽、岡生峰、森岡貞雄、大場生泉、杉田恵春、池内世観、神保朋世、岩橋英遠、赤井伸生、山下昌風の21名だった。

北海道日本画協会では、公募制の北海道日本画協会展や同人展を開催し、また付帯施設として北海道日本画研究所も設立、後進の指導にあたった。そして、協会の創設から2年後の昭和23年、莞彩は念願の日本美術院に初入選、それから連続して入選し昭和25年院友になった。画風が確立したのはこの頃からで、昭和34年に64歳で没するまでの短い間、それまで蓄えてきた力をすべて燃焼させて自らの芸術を完成させた。

同じ院展に出品し、のちに片岡球子(1905-2008)とともに日本画壇を代表する「北の巨匠」となる岩橋英遠(1903-1999)は、莞彩の遺作展に寄せた文章に「前になったり後になったりしながら、同じ道を歩いてきました。本間さんが本気で仕事に取り組まれたのは、院展に出品される様になってからではないかと思われますが、それまでの長い年月に蓄えられた力ではあったとしても、あの年齢での凄まじいまでの意欲は、周囲の人たちの目をみはらせるに充分でした」と記し、画友の死を悼んだ。

本間莞彩(1894-1959)ほんま・かんさい
明治27年新潟市生まれ。本名は浅田藤松。前号は芳洲。明治41年北海道余市町の本間海産物問屋の養子となり、以後本間姓を名乗る。大正3年上京して太平洋画会研究所で中村不折に学んだ。大正9年頃に札幌に戻り肖像画を生業としていた。大正12年洋画家グループ「十二年社」の結成に参加。大正14年第1回道展に洋画を出品、翌年第2回展にも洋画を出品するが、昭和2年の第3回展には日本画を出品した。昭和3年蒼玄社の結成に参加。昭和9年莞彩に改号。昭和21年道展を退会し、北海道日本画協会を結成。昭和23年日本美術院に初入選し、以後11回入選。昭和25年日本美術院院友になった。昭和34年、64歳で死去した。

文献:北国の抒情-本間莞彩、日本画逍遥・北海道立近代美術館コレクション選、美術北海道100年展、北海道美術あらかると、北海道美術史

冬の華 - Glorious Winter - (Creative Arts)
齊藤智
Creative Arts







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