寺島紫明(1892-1975)は、兵庫県明石市に生まれた。少年時代から文学に傾倒し、寺島玉簾のペンネームで「少年倶楽部」などの雑誌に応募し入選した。17歳で文学を志して上京したと思われるが、その後画家を志し、鏑木清方(参考)に師事して美人画を学んだ。
清方門下の郷土会などに出品し、大正3年に巽画会で3等賞を受けた。昭和2年には第8回帝展で初入選を果たし、以後官展に出品した。大正11年に体調を崩したこともあって西宮市甲東園に移り住み、以後ここを拠点とした。
昭和16年、17年の新文展で2年続けて特選を得て、昭和36年には文部大臣賞を、昭和44年には日本芸術院賞恩賜賞を受賞した。女性の内面に迫った美人画を追究し、簡素な画面構成のなかに存在感のある女性像を描いた。
寺島紫明(1892-1975)てらしま・しめい
明治25年兵庫県明石市生まれ。本名は寺嶋徳重。明治43年文学を志して上京。大正2年長野草風の紹介で鏑木清方に師事した。翌年巽画会第14回展で初入選し3等賞を受賞。昭和2年第8回帝展に初入選し、以後官展に出品した。昭和11年西宮市甲東園に転居し以後ここを拠点とした。昭和16年第4回新文展で特選、翌年の第5回展でも特選となった。昭和33年日展評議員。昭和36年第4回新日展で文部大臣賞を受賞。昭和45年日本芸術院賞恩賜賞を受賞した。昭和50年、78歳で死去した。
参考:UAG美人画研究室(寺島紫明)
兵庫(38)-画人伝・INDEX
文献:兵庫ゆかりの日本画家たち展、兵庫の美術家県内日本画壇回顧展、兵庫の絵画100年展