画人伝・大阪

歌川国芳の門人で安政年間のみ作画した北粋亭芳豊

北粋亭芳豊「難波つな引」(『花暦浪花自慢』八より)

北粋亭芳豊「難波つな引」(『花暦浪花自慢』八より)

北粋亭芳豊(不明-1866)は、江戸の歌川国芳の門人で、歌川姓を名乗り、歌川芳豊とも称した。安政年間のみの作画が知られ、役者絵のほか、風俗画、風景画も描いた。

『花暦浪花自慢』は、安政年間に芳豊が描いた連作錦絵で、上部には大坂の年中行事や花暦、ほかに季節の風物詩なども書き連ねられ、下部には、上部の暦と時期がずれる場合も多いが、代表的な行事の様子が描かれている。

掲載の「難波つな引」は、大阪市浪速区元町にある難波八阪神社で毎年正月14日に行われていた神事を描いたもの。「つな引」は、主祭神の素戔嗚尊が八岐大蛇を退治した神話に基づく神事と伝えられ、綱の両端は大蛇の頭と尾に見立てられ八本にさばかれている。

北粋亭芳豊(不明-1866)ほくすいてい・よしとよ
大坂の人。歌川国芳の門人。含粋亭、北粋、北酔、芳豊と称し、上原、歌川姓を名乗った。俗称は兵三。歌川(一龍斎)芳豊とは別人。慶応2年死去した。

大阪(66)-画人伝・INDEX

文献:上方の浮世絵-大坂・京都の粋と技、幕末大坂の風景




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