画人伝・福井 日本画家 宗教画

截金仏画の追究と完成に生涯をささげた田中墨外

田中墨外「十一面観音菩薩像」

田中墨外「十一面観音菩薩像」

田中墨外(1877-1957)は、福井県小浜市に生まれた。12、3歳の時に上京して神田に住み、20歳頃から橋本雅邦に師事して画を学んだ。雅邦没後は、当時絶滅の危機に瀕していた截金の技術を復活させ、截金仏画の研究と制作に専念した。

売らんがために画の本質を失うことを恐れて画を売らないことを信条とし、弟子を求めることもなく、多年の研究成果を発表する仏画個展を開いたほかは一切の展覧会に出品せず、ひとり截金仏画の追究と完成に生涯をささげた。

田中墨外(1877-1957)たなか・ぼくがい
明治10年小浜市生まれ。仏画家。本名は前田金蔵。田中家の二男で、後年母方の前田家を継いだ。明治22年上京し、明治31年から橋本雅邦の門に入って画を学んだ。雅邦没後は、当時途絶えつつあった截金の技法を復活させ、仏画の制作に専念した。昭和12年東京都文京区護国寺月光殿で個展開催。翌13年「愛染明王像極彩色画(截金)」を護国寺に寄贈。昭和27年「阿弥陀如来像(截金)」が東京国立博物館に収蔵。昭和28年截金仏画により栃木県文化功労賞受賞。昭和32年、80歳で死去した。

福井(23)-画人伝・INDEX

文献:墨外




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