柴田晩葉「江州盆踊」
柴田晩葉（1885～1942）は、滋賀県大津市新町に生まれた。父の孟教は、江戸の昌平坂学問所に学んだ漢学者で、水野忠弘が朝日山藩に転封された際、藩の儒者として藩主に伴って近江を訪れ、廃藩後も教員として引き続き大津に住んだ。
晩葉は父に漢籍を学び、１９歳で父を亡くしたが、その年に本格的に画家を目指して京都市立美術工芸学校絵画科に入学した。同研究科を卒業したのち、京都市立絵画専門学校に進み、在学中に文展に入選した。同校研究科終了後は山元春挙の門下生となり、官展と早苗会を中心に活動し、２０代後半には新進気鋭の画家として注目されるようになった。
大正８年に京都に転居し、大正１１年から京都市立美術工芸学校の教諭をつとめた。昭和１５年には岩本周煕、西田恵泉、中野芳樹、上田道三、野添平米、古谷一晁、寺島白耀、斎藤紫山、木下青陽、南畊平人とともに滋賀県出身の日本画家１１人で近江美術人会を結成、同年、近江神官が創建されたことを記念して開催された近江神官奉讃美術展に出品するなど、近江でも盛んに活動した。
春挙が没するまで春挙に師事し続けたが、多くの門下生たちが春挙同様に花鳥画や山水画を得意としたのに対し、晩葉の作風は春挙とはまったく異なるもので、画法も画題も多様な作品を残している。
柴田晩葉（1885-1942）しばた・ばんよう
明治１８年大津市新町生まれ。柴田孟教の二男。本名は成教。初号は蘆村。大正３年京都市立絵画専門学校研究科終了。在学中に第６回文展に入選し、その後第８回、第１０回と入選した。大正４年サンフランシスコ万国博覧会で銀牌を受賞。その後も第８回と第１２回の帝展に入選した記録がある。大正１１年京都市立美術工芸学校の教諭となり昭和４年までつとめた。昭和１５年近江美術人会を結成、同年近江神官奉讃美術展に出品。大津の名士１０名による後援組織「十葉会」に支えられて画業を展開したと思われる。昭和１７年、５７歳で死去した。
滋賀(34)－画人伝・INDEX
文献：柴田晩葉－湖都のモダン日本画家、近江の画人