江戸時代を中心に全国各地で活動していた画家を調査して都道府県別に紹介しています。ただいま近畿地方を探索中。

UAG美術家研究所

14代にわたり彦根藩主をつとめた井伊家の画人

井伊直幸(英)「馬図」

井伊家は、初代直政から最後となった17代藩主直憲まで14代にわたり彦根藩主をつとめたが、そのなかで画を嗜み、作品を残している藩主としては、6代藩主直恒、9代藩主直惟、13代藩主直幸(英)がいる。確認できる作品は極めて少ないが、いずれも狩野派の画風で描かれている。

6代藩主直恒は、18歳で死去したため藩主在位は2カ月ほどだったが、熱心に画を学んだと思われ、菩提寺の清凉寺に伝わる直恒の肖像画の賛文に画を嗜んだことが書かれている。また、藩主以外の井伊家の人物としては、新野古拙と井伊直安が書画をよくした。

新野古拙(1808-1875)は、14代藩主直中の十男で、家老木俣家の嗣子となったあと、病を患い、木俣家の分家として絶えていた新野家を興した。詩文や書画に巧みで、異母弟にあたる16代藩主直弼は、庶子時代に古拙に画を何度か依頼している。

井伊直安(1851-1935)は、16代藩主直弼の四男で、越後の10代与板藩主となった。日本画の作品を多く描いたが、洋画も手掛けており、井伊家の菩提寺・豪徳寺には父直弼を油絵で描いた肖像画が伝わっている。

井伊直恒(1693-1710)いい・なおつね
元禄6年生まれ。彦根藩6代藩主。5代および8代藩主直興の十男。宝永7年兄・直通が直恒を跡継ぎとするよう遺言して没し、同年家督を継いだが、間もなく病を得て、同年、18歳で死去した。

井伊直惟(1700-1736)いい・なおのぶ
元禄13年生まれ。彦根藩9代藩主。5代および8代藩主直興の十三男。再度藩主になった父直興のあとを継いで正徳4年彦根藩主となった。文化に造詣が深く、書画をよくしたと伝わっている。元文元年、37歳で死去した。

井伊直幸(英)(1731-1789)いい・なおひで
享保16年生まれ。彦根藩13代藩主。9代藩主直惟の三男。初名は直英、のちに読みはそのままで直幸に改名した。叔父で10代および12代藩主直定の養子となり藩主となった。江戸幕府の大老もつとめた。寛政元年、59歳で死去した。

滋賀(05)-画人伝・INDEX

文献:彦根ゆかりの画人