江戸時代を中心に全国各地で活動していた画家を調査して都道府県別に紹介しています。ただいま近畿地方を探索中。

UAG美術家研究所

大坂における四条派隆盛の基盤を築いた西山芳園

西山芳園「龍安寺雪中図」黒川古文化研究所蔵

西山芳園(1804-1867)は、本町辺りの木綿問屋に生まれ、幼い頃つとめていた奉公先で画を描くことを勧められ、大坂琳派の中村芳中に師事した。師の「芳」の一字をもらい「芳園」と号したが、その後芳中の紹介もあり、京都の四条派・松村景文に入門した。同門に上田公長らがいた。

住み込みではなく三十石船による粉本中心の通い弟子だったと思われるが、四条派の真髄を修め、艶麗な人物画や花鳥画を得意とした。その画風には最初の師だった芳中の影響は見受けられず、写生による風俗真景図なども手掛け、京都・大坂で人気を博し、大坂における四条派隆盛の基盤を築いた。

西山芳園(1804-1867)にしやま・ほうえん
文化元年生まれ。大坂の人。名は成章、字は子達、俗称は辰吉、または達吉。号は芳園。門人の武富瓦全が著した『雑録西山芳園先生』によると生家は本町辺りの木綿問屋だったとされる。はじめ中村芳中に師事し、その後京都の松村景文に師事した。人物花鳥を得意とし当時の京坂で大いにもてはやされた。晩年は浮世小路に住んだ。慶応3年、64歳で死去した。

大阪(18)-画人伝・INDEX

文献:近世大阪画壇、浪華人物誌2、大阪人物誌巻1、サロン!雅と俗:京の大家と知られざる大坂画壇、大阪の日本画、近世の大坂画壇、近世の大阪画人、大坂画壇の絵画

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