江戸時代を中心に全国各地で活動していた画家を調査して都道府県別に紹介しています。ただいま近畿地方を探索中。

UAG美術家研究所

浮世絵師としても注目される仙台藩の奥女中・忠岡三千子

忠岡三千子「若衆花魁図」福島美術館蔵

本格的な画技を持つ女性浮世絵師として注目される忠岡三千子は、京都に生まれ、七代藩主・伊達重村の夫人・近衛氏年子(惇姫)の侍女として仙台を訪れ奥女中となった。生没年はおろか墓所さえもはっきりしないが、惇姫が文化2年に61歳で没していることから、三千子の活躍期もほぼ18世紀後半だったと推測されている。

三千子は、楊貴妃や衣通姫、女三の宮、草子洗い小町、さらには小督、仲国など古典に題材をとった美人画を手がける一方で、五代藩主・吉村夫人と六代藩主・宗村夫人の肖像画も制作している。いずれも狩野派を基礎においた大和絵風の作風だが、「若衆花魁図」(掲載作品)は、鈴木春信や石川豊信ら明和・安永年間の浮世絵師の画風に近く、多彩な画技を身につけていたと思われる。

忠岡三千子(不明-不明)ただおか・みちこ
名は蘭女、園井と称した。京都の忠岡氏の息女。仙台藩七代藩主・伊達重村夫人の観心院(近衛年子)の侍女として仙台を訪れ奥女中となった。作品は、仙台市の福島美術館(平成30年閉館)などに収蔵されている。

宮城(5)-画人伝・INDEX

文献:江戸の閨秀画家、続仙台画人伝、仙台市史通史編4(近世2)、仙台市博物館館蔵名品図録、福島美術館優品図録
参考:UAG美人画研究室