小松益喜(1904-2002)は、高知県土佐郡旭村(現在の高知市)に生まれた。上京して東京美術学校に学び、在学中にプロレタリア美術家同盟に参加した。卒業後は高知に帰り、再度上京を決意して東京に向かう途中、神戸の街並みや異人館に魅せられて神戸で制作を始め、そのまま定住した。
神戸の町を隈なく写生して歩き、エキゾチックな雰囲気に満ちた旧居留地や異人館などを作品として残した。誠実な筆により描かれた神戸の街並みは、今はもう見ることのできない昔の神戸を偲ばせる貴重な資料となっている。
小松益喜(1904-2002)こまつ・ますき
明治37年高知県土佐郡旭村(現在の高知市)生まれ。大正14年東京美術学校西洋画科に入学し、和田英作(参考)に学んだ。昭和5年同校を卒業。同年第17回二科展に初入選し、以後同展に出品した。昭和7年頃神戸に移り住み、異人館に魅せられ、以来40数年間異人館を描き続けた。昭和11年全関西洋画展で朝日洋画奨励賞を受賞。小磯良平(参考)と親しく交流し、小磯らが昭和10年に結成した新制作派協会に昭和11年から出品し、昭和12年の第2回展で新作家賞を受賞、昭和16年会員となった。昭和33年田宮虎彦との共著で『神戸』を出版。昭和34年兵庫県文化賞、昭和50年神戸市文化賞を受賞。平成14年、97歳で死去した。
兵庫(61)-画人伝・INDEX
文献:兵庫の美術家県内洋画壇回顧展、神戸ゆかりの芸術家たち、兵庫の絵画100年展、神戸洋画会とモダニズムの継承者たち