岡本更園「初盆」
岡本更園（1895-不明）は、摂津国有馬郡名塩村（現在の兵庫県西宮市）に生まれた。姉が嫁いだ日本画家の岡本大更（参考）の家に寄寓し、１６歳の時から義兄の更彩画塾で学んだ。大正３年に１９歳で第８回文展に初入選し、若くして画壇デビューを果たした。
大正５年には島成園（参考）、木谷千種（参考）、松本華羊（参考）と「女四人の会」を結成するなど、大正期の大阪での女性画家ブームのなかで精力的に活動し、大阪毎日新聞と東京日日新聞で連載された井田絃聲の小説「姉と妹」の挿画をはじめ、新聞や雑誌の挿画なども手掛けた。
大正８年に一念発起して上京し、鏑木清方（参考）の門に入ったが、翌年関西に戻り京都で西山翠嶂（参考）に師事した。しかし同年再び上京して神田南神保町七高倉方に仮寓した。その後は、大正１１年頃までに養子を迎えて神戸に移ったと伝わっており、大正半ば頃に岡本姓から本来の星野姓に戻し、結婚後は大江姓となった。
神戸では、宮川町、大江内に住み、大正１４年に木谷千種、三露千鈴（参考）らと「向日会」を結成。大阪市美術協会展や大阪女流画家展にも参加し、昭和９年には難波高島屋で個展を開催した。没年は不明だが、島成園や生田花朝女（参考）をはじめとした大阪の女性画家たちとの交流は晩年まで続いた。
岡本更園（1895-不明）おかもと・こうえん
明治２８年摂津国有馬郡名塩村（現在の兵庫県西宮市）生まれ。本名は星野延子。大正３年第８回文展で初入選し、１０回展にも入選した。大正３年心斎橋はり半で「更園画会」披露会を開催。大正４年第１回大阪美術展覧会に初入選、第２回展、第４回展にも入選した。大正４年『女学生画報』５月号の挿画を担当。大正５年大阪毎日新聞と東京日日新聞に連載した井田絃聲の小説「姉と妹」の挿画を担当。同年木谷千種、島成園、松本華羊と「女四人の会」を結成。大正８年上京して鏑木清方に入門。本郷西片町に居住するが、翌年関西に戻り京都で西山翠嶂に師事した。同年再び上京して神田南神保町七高倉方に仮寓。大正１１年頃までに養子を迎えて神戸に移ったと伝わっている。大正中頃から星野姓、後期より大江姓も使った。大正１３年、神戸市宮川町、大江内に居住。大正１４年木谷千種、三露千鈴らと「向日会」を結成。同年大阪市美術協会第２回展に出品。同年大阪女流画家展に参加。昭和９年難波高島屋で個展。没年不明。
参考：UAG美人画研究室（大阪画壇の女性画家）
兵庫(41)－画人伝・INDEX
文献：島成園と浪華の女性画家