江戸時代を中心に全国各地で活動していた画家を調査して都道府県別に紹介しています。ただいま近畿地方を探索中。

UAG美術家研究所

摂州池田の四条派・葛野宜春斎

葛野宜春斎「呉里図」池田市立歴史民俗資料館蔵

葛野宜春斎(1771-1819)は、摂州池田(現在の大阪府池田市)の酒造業の家に生まれ、その頃池田に寓居していた呉春に師事した。呉春に学んだ期間は短かったと思われるが、のちに応挙画風を加味した作品を残している。

掲載の「呉里図」は、当時呉里(くれはのさと)と呼ばれていた現在の池田市域を南から描いた図で、中央に五月山が配され、その手前に池田の諸寺院の屋根が点在し、現在は失われた姫室・梅室という小塚(経家)なども描かれている。五月山の麓から流れる川は猪名川で、手前にある社は呉服神社である。賛は、池田在住の酒造家で和漢の古典に造詣のあった荒木李谿・梅閭兄弟が手掛けている。

葛野宜春斎(1771-1819)かどの・ぎしゅんさい
明和8年摂州池田生まれ。生家は酒造業を営んでいた。通称は山城屋次郎。池田に寓居していた呉春に師事し、勝部如春斎にも学んだと伝わっている。和歌もよくした。文政2年、48歳で死去した。

大阪(14)-画人伝・INDEX

文献:近世の大阪画人