芝琳賢ほか「大仏縁起絵巻」下巻第3段(部分)重文 奈良・東大寺蔵
奈良・東大寺に伝わる「大仏縁起絵巻」は、もともとあった20巻の絵巻を3巻に要約し直したもので、天文5年に成立した。内容は大仏を軸に展開し、詞書は上巻を後奈良上皇が、中巻を青蓮院尊鎮が、下巻を公順が担当し、絵は上巻と中巻を芝琳賢が、下巻を藤勝丸が描いた。
上巻と中巻を描いた芝琳賢(不明-不明)は、奈良・興福寺に属する南都絵所四座のうち芝座の筆頭で、正式には芝喜多坊観重琳賢という。享禄から天文頃にかけて活躍したことが現存作品から推定され、金を多用した装飾性豊かな作画活動を展開し、涅槃図をはじめとした仏画のほか、仏像の彩色や絵馬の制作なども行なった。
芝琳賢(不明-不明)しば・りんけん
南都(奈良)の人。興福寺の絵仏師の芝座の最後を飾る大家で、法眼に叙せられた。天文5年「大仏縁起絵巻」を、天文22年春日神社の絵馬を描いた。文禄2年東寺塔を画くという記録もあり、相当長寿だったと思われる。東大寺絵所も兼ね、喜多坊といわれた。
京都(43)-画人伝・INDEX
文献:日本美術全集9、日本画家人名事典