江戸時代を中心に全国各地で活動していた画家を調査して都道府県別に紹介しています。ただいま近畿地方を探索中。

UAG美術家研究所

土佐派と異なる新奇な画風を示した掃部助久信・久国

掃部助久信「慕帰絵」第1巻第3段(部分)重文 京都・西本願寺蔵

京都・西本願寺の「慕帰絵」は、観応2年に藤原隆章・隆昌父子の作画によって完成したのち、足利将軍家に貸し出されていたが、飛鳥井雅康のとりなしにより文明13年に京都・本願寺に返却された。ところが、全10巻のうち第1巻と第7巻が紛失していたことから、この部分は、翌文明14年、飛鳥井雅康が詞書を染筆し、掃部助久信が絵を描いて補作した。

掃部助久信(不明-不明)については、本作以外に作品がなく伝歴も不明だが、やや稚拙な人物表現がみられ、洗練された土佐派の様式とは異なる、室町後期に流行する稚拙な様式を感じさせる。また、後継者と思われる掃部助久国の「真如堂縁起巻」は、大きくゆがんだ建築表現や派手な彩色に特徴がみられ、これもまた新奇な画風を示している。

掃部助久信(不明-不明)かもんのすけ・ひさのぶ
伝歴は不明。文明14年「慕帰絵」第1・7巻の絵を補作した。

掃部助久国「真如堂縁起巻」下巻第12段(部分)重文 京都・真正極楽寺蔵

掃部助久国(不明-不明)かもんのすけ・ひさくに
伝歴は不明だが、掃部助久信の後継者と思われる。大永4年京都・真正極楽寺の「真如堂縁起絵巻」3巻を描いた。

京都(42)-画人伝・INDEX

文献:日本美術全集9、中世やまと絵史論