愚渓右慧「葡萄図」
愚渓右慧(不明-不明)は、義堂周信や鉄舟徳済のもとで修行した画僧で、義堂の日記や語録にもしばしば登場する。また、応安8年に上洛していることが判明している。現在知られている作品は10点ほどだが、道釈、花鳥、山水と画題的に幅広い。
なかでも山水図は書斎詩画軸以前の早い例として注目され、仏画においても同時代と考えられる良全に比し山水画的要素が強い。掲載の「葡萄図」は、宋の画人・日観に倣い、墨蘭をもっぱら描いていた師の鉄舟徳済の画風を受け継いだものと思われる。
愚渓右慧(不明-不明)ぐけい・うけい
南北朝時代の画僧。諱は右慧、道号は愚渓、庵号は幻庵。鉄舟徳済に画を学んだ。作品は「釈迦三尊図」「出山釈迦図」「白衣観音図」などの仏画から「漁樵山水図」「雨中山水図」「葡萄図」などの水墨画と幅広い。
京都(14)-画人伝・INDEX
文献:原色日本の美術11