松本交山「百蝶図」井政蔵
松本交山（1784-1866）は、江戸深川の富岡八幡境内の二軒茶屋の一軒「松本」の主人だったが、家業を弟に譲り、境内に別宅七草庵を構え、祝髪して亀交山とも称した。画を谷文晁に学び、ついで酒井抱一に師事したとされ、俳諧もよくした。法眼に叙され、本格的山水画や濃彩の草花絵も手掛けている。『日光山志』『武蔵野話（２編）』など名所絵の挿図も分担しており、絵師として幅広く活躍したとみられる。
松本交山（1784-1866）まつもと・こうざん
天明４年生まれ。江戸の人。江戸深川富岡八幡境内の二軒茶屋の一軒「松本」の主人。本姓は上条氏、名は煥、字は景文、のちに名を機あるいは大機、字を真宰とした。通称は松本二郎吉、のちに文右衛門と改めた。別号に七草庵、無分別室、江左爺などがある。弟に家業を譲り、画を谷文晁に学び、のちに酒井抱一とも交わり俳諧もよくした。長男は一山だが早世したため、門人亀岳を嗣子とした。慶応２年、８３歳で死去した。
兵庫(14)－画人伝・INDEX
文献：酒井抱一と江戸琳派の全貌、江戸琳派 花鳥風月をめでる