雪好(不明-不明)は、経歴や生没年が不明な絵師である。作品にはいずれも「雪好」の朱文円印があるが、落款や年記がなく、作品からは生没年や経歴を知ることはできない。活動期は18世紀末から19世紀の初めにかけてだと思われている。それは、明らかに雪好作品の模写と思われる作品が文化文政期に制作されていることから、そう推測されている。雪好の作品には、構図の似通った類型化したものが数多く見られることから、注文に応じて作品制作を行なっていた町絵師的な活動をしていたと考えられている。
雪好の描くアイヌ像は、独特の容姿をしており、その人物表現に関して、新明英仁著『「アイヌ風俗画」の研究-近世北海道におけるアイヌと美術』では、「男女とも目が非常に大きく三白眼であり、アイヌの彫りの深い顔立ちはとらえているが異様な皺の強調があり、アイヌが異人であることを強く意識している。そこからは優位に立つ者が見下しているような、冷たい視線が感じられる」とし「雪好がアイヌの風俗や文化に深く関わった絵師であると考えることは難しい」としている。
雪好(不明-不明)
18世紀末から19世紀の初めにかけて活動したと思われる。弟子に雪遊がいる。作品には、「双幅蝦夷人図」「アイヌ喫煙の図」「蝦夷人風俗図」「アイヌ人物図」「蝦夷人図」などがある。
北海道(4)-画人伝・INDEX
文献:蝦夷風俗画展、「アイヌ風俗画」の研究-近世北海道におけるアイヌと美術、アイヌ絵