波多野華涯「三白図」「玉蘭海棠図」
波多野華涯（1863-1944）は、元水戸藩士で銅の商人をしていた波多野善四郎の長女として大坂に生まれた。単身上京し、明治８年に跡見花蹊が神田猿楽町に開校した跡見学校（のちの跡見学園）に第一期生として入学し、花蹊に書画を学び、在学中に花崖の号を受けた。
明治１３年同校を卒業し、その翌年大阪に戻った。大阪では森琴石に南画を、河野春颿と藤沢南岳に漢籍を、石橋雲来に漢詩を学んだ。明治１７年には再び上京し、滝和亭に彩色法を、小山春山に漢学を学んだ。
明治１９年再び大阪に戻り、常磐女学校で読書と毛糸編物を教えた。翌年木村作之助と結婚するが、明治２２年に離婚。明治２９年宮島の僧侶・松峰光典と再婚して広島に転居し、大正６年に岡山在住の書家・入澤昕江の招きで岡山市に転居し、華涯と改号した。
大正１０年、岡山で画塾「有香社」を結成し、毎年作品展を開催して南画の普及につとめ、多くの門下生を育てた。画塾は山陽地域の財界人が集う文化サロン的な役割も果たしていたという。
波多野華涯（1863-1944）はたの・かがい
→岡山の近代南画家、石井金陵・衣笠豪谷・波多野華涯
大阪(84)－画人伝・INDEX
文献：大阪の日本画、女性画家たちの大阪