木谷千種「蛍美人」
木谷千種（1895-1947）は、大阪市北区堂島に生まれ、１２歳で渡米し、シアトルで洋画を学んだ。２年後に帰国し、大阪府立清水谷高等女学校に通学し、深田直城に師事したが、同校卒業前に上京し、池田蕉園（参考）塾に入門した。
大正３年、大阪に戻り池田市在住の叔父・吉岡重三郎宅に寄寓し、北野恒富（参考）、野田九浦に師事した。大正４年、第９回文展に初入選し、以後も官展に出品を続けた。大正５年には島成園（参考） 、岡本更園、松本華羊（参考）とともに「女四人の会」を結成し、西鶴研究をもとに「好色五人女」をテーマに展覧会を開催した。新進女性画家のグループ展は話題を集めたが、生意気だとする批判も受けた。
大正７年に京都に転居し、竹内栖鳳（参考）の紹介で菊池契月 に師事したが、大正９年に近松研究家の木谷蓬吟と結婚して大阪に戻った。結婚後も大阪で精力的に活動し、画塾「八千草会」を設立して後進の指導につとめ、大正１４年には岡本更園、生田花朝女（参考） ら大阪在住の女性画家たちと「向日会」を結成した。
その後、結婚した島成園が次第に制作から遠ざかり、岡本更園、松本華羊も大阪を離れたため、昭和期には千種と花朝女が大阪の女性画家の中心的存在となった。
木谷千種（1895-1947）きたに・ちぐさ
明治２８年大阪市北区堂島浜通生まれ。旧姓は吉岡。本名は英。２歳の時に母が逝去。明治４０年渡米しシアトルで小学校に通いながら洋画を学んだ。明治４２年帰国し、大阪府立清水谷高等女学校に通い、深田直城に花鳥画を学んだ。大正２年頃女学校卒業前に上京して池田蕉園に人物画を学んだ。大正３年大阪に戻り、北野恒富、野田九浦に師事した。大正４年第９回文展に初入選。大正５年女四人の会第１回展に参加。大正７年第１２回文展に入選、同年京都に転居し、翌年竹内栖鳳の紹介で菊池契月に師事。大正９年木谷蓬吟と結婚し大阪に戻り、画塾・八千草会を創立。大正９年第２回帝展に入選、以後も官展に出品するとともに、白耀社展、大阪美術展覧会、菊池塾展、大阪女流展などに出品した。大正１４年向日会結成に参加。昭和５年西成区南吉田町から大阪府中河内部長瀬村外島（現・東大阪市）に転居。昭和１４年神戸オリエンタルホテルで個展。昭和１９年大阪府南河内部高鷲村に転居。昭和２２年、５１歳で死去した。
→参考：UAG美人画研究室（木谷千種）
大阪(126)－画人伝・INDEX
文献：大阪の日本画、江戸時代の女性画家、女性画家たちの大阪、島成園と浪華の女性画家、近代日本画にみる麗しき女性たち