江戸時代を中心に全国各地で活動していた画家を調査して都道府県別に紹介しています。ただいま近畿地方を探索中。

UAG美術家研究所

滑稽で人間臭い動物画を描いた森二鳳

森二鳳「稲荷狐図」関西大学図書館蔵

森二鳳(1818-1891)の生涯は不明な点が多いが、森一鳳に学んだと思われる。商売繁盛を意味する滑稽な「稲荷狐図」(掲載作品)や、人間臭い「鶴図」を描くなど、大坂らしい図様を用いていることなどから、岡田米山人や森一鳳に連なる画家とみられる。安政3年に刊行された『浪華名流記』では「師の作風を羽ばたかせる勢いがある」と評されている。

森二鳳(1818-1891)もり・じほう
文政元年生まれ。大坂の人。名は良、字は士綱、俗称は範三郎。号は二鳳、秋琴。森一鳳に画を学んだという。安政5年の稲田林広編『書画展観録』に「淡彩蘭亭図」を出品したと記されている。同年の『浪華春秋今書畫展観目録』には「蓬莱山図」を出品したとある。安政6年「稲荷狐図」を制作。安政期の年紀作品が比較的多い。明治24年、74歳で死去した。

大阪(11)-画人伝・INDEX

文献:近世大阪画壇、サロン!雅と俗:京の大家と知られざる大坂画壇、大坂画壇の絵画

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